松下 享平
- Kohei Matsushita -
株式会社ソラコム テクノロジー・エバンジェリスト
松浦 シゲキ
- Shigeki Matsuura -
メディアコンサルタント・コミュニケーションプランナー
入山 章栄
- Akie Iriyama -
浜松町Innovation Culture Cafe マスター
経営学者
田ケ原 恵美
- Emi Tagahara -
浜松町Innovation Culture Cafe 見習い店員
目次
株式会社ソラコムでテクノロジー・エバンジェリストの松下享平さんと、メディアコンサルタント・コミュニケーションプランナーの松浦シゲキさんを迎え、「サポート」をテーマにディスカッション。顧客の本音を引き出す課題発見の手法やデータを活用した改善プロセス、さらに「外圧」を味方につけて組織を動かすアプローチについて、経営学者・入山章栄さんが迫ります。

課題を把握する上では、まずしっかりお話を聞く事が大前提ですが、お客様がおっしゃる内容だけではなく、その裏側まで見ていかなければいけないと思っています。


































その願いをどう形にするかを壁打ちしながら、お客様自身に本当の目的へ気付いていただく。そうした取り組みをうちのメンバーはよくやっています。










































































































それが結果的にはお客様の信頼につながって、「次の相談もお願いします」と言っていただける。そうした信頼の積み重ねが礎になる事もありますね。


































そういう時は、「その大きな課題は、やろうと思えばできますから、一旦置いておきましょう。それより中長期で改善すべき部分に取り組みましょう」とお伝えします。中長期で成長するためには、そうした話もしなければいけません。








だから、ある程度柔らかい雰囲気で入って、「状況はあまり良くないかもしれませんが、こういう形で改善していきましょう」と話すんです。ただ、今はAIで議事録を作れますよね。あとで文字起こしを見ると、「結構辛辣な事を言っているな」と自分でも思います(笑)。






































































それよりも、インターネットのデータだけではなく、テレビをはじめとしたマスメディアのデータも含めて確認しますね。
数字は正直ですから、まず記事がどう読まれているかなど、数字の部分を先に見るようにしています。テキストやメール、ドキュメント、レポートなどで「こういう課題があります」と送られてくるんですよ。読めば分かりますし、ヒアリングをしても同じ話が返ってくる事が多いので、それなら秘密保持契約(NDA)を結んだ上で「社内データを見せてください」とお願いしています。






































































我々はソリューションアーキテクトが担当していますが、お話を伺っていると、コンサルタントの仕事にすごく近いなと感じますね。


































でも、清掃や製品切り替えで部品を交換する時は、どうしても止めなければいけない。その停止理由を、以前は手書きで記録していたそうなんです。
「これから清掃します」といった内容を書くのですが、その情報自体が正確ではないケースも少なくありませんでした。






































































ただ、そこへ至るまでの数字は誰に対しても平等なので、まず数字から見なければいけないと思っています。
私はメディアコンサルティングの現場に入って3年ほどになりますが、コンテンツそのものを直した事はほとんどありません。







































だから、まずは流通や届け方を見直す必要があります。コンテンツの良し悪しだけで売れるわけではないんですが、みんな新しいコンテンツを作りたがるんですよね。
IoTはモノを作らなければいけませんが、テキストやデジタルコンテンツは簡単に作れて、簡単に書き換えられます。だからこそ、新しいコンテンツを増やすよりも、流通経路や届け方に力を入れた方がいいと思っています。


































































ただ、興味を持ってもらうというよりは、悩みを掘り起こすイメージに近いですね。


































温度差はありますが、根本は悩みを解決したい気持ちだと思っているので、展示会で講演する時は、必ず悩みの解決を軸に話します。
一方で、会場を歩いている人は受動的に情報へ触れています。そうした方に興味を持ってもらえる展示は必要ですが、話す内容は悩みの解決にフォーカスする。その差はつけましょうみたいな話はしますね。





これまでどんなコンテンツを見てきたか、どんな事例を経験してきたか。その蓄積があるから仮説を立てられるんです。だから私の場合、仮説は定性的な情報から組み立てています。


ただ、ゴールも決めずにデータだけ集めても、正直ゴミしか集まりませんので、私たちがこれまで他のお客様から学んだノウハウや「こういうデータを取ると役立ちますよ」といった話を紹介します。
一度で欲しいデータが全部揃う事はないので、「ここを改善しましょう」「このデータもあった方がいいですね」と改善を繰り返しながら、サイクルを回していく形になります。逆に言うと、データが集まるまでの時間は周りから見ると意味のない時間なんです。
だから、その時間をいかに短縮するかが私たちの役割で、「こんな技術がありますよ」「こんな仕組みなら今日からでも始められますよ」と紹介して、できるだけ早くデータを取得できるよう支援しています。


その3カ月は、上司にいろいろ言われるかもしれませんけど、そこは気にしなくていい。当たりもあれば外れもあります。外れたデータも立派なデータなんです。








































































































































松浦さんはメディアのプロとして、お客様の改善を支援する時に一番大事にしている事は何ですか?
小さな改善を積み重ねていく方が、最終的には右肩上がりの成長につながるので、その状態を目指しています。


































メディアは、自分たちで出来事を生み出しているわけではなく、世の中で起きた出来事を追いかけながら、多くの人に見てもらう仕事です。たとえば、野球でスター選手が現れたとします。みんなが注目するので、その話題にリソースを集中したくなる。でも、その選手がケガをしてしまったらどうするのか。
だから、一つの話題に全てを賭けるやり方は避けましょう、とお伝えしています。


































一つずつ課題をクリアして、「プラス1」になった実感を持つ事が大切なんです。
レベルアップの音が鳴るのは、3カ月後よりも明日の方がいいじゃないですか。派手なファンファーレが一度鳴るより、小さなチャイムが毎日鳴る方が気持ちいいんですよ。


































それより、目の前のスライムを一匹ずつ倒して、少しずつレベルを上げていく方が現実的です。


































Aは全国100拠点あって、それぞれ年1回点検します。つまり年間100回の点検です。一方、Bは拠点が1カ所しかありませんが、1日に3回必ず点検します。「どちらの方が早く成功できますか」と聞くと、多くの方がBを選びます。
1日3回行う作業をデジタル化やIoT化すれば、すぐ結果が出る事は理解してくださいます。でも、実際に自社の課題になると、「うちは半年に1回しか点検しないんですよね」と言い始めるんです。成果が出るかどうか分かるのは半年後、次の検証は1年後になって、自分事になった途端、見えなくなってしまうんですよね。
私自身もそういう部分はあるので、その気持ちはよく分かります。だからこそ、「まずは結果が早く出る所から始めましょう」とお伝えする事が大切だと思っています。


社内で褒められるよりも、「あの会社の、あの取り組みはすごいらしい」と社外で評価されると、「うちがやっている事って、実はすごかったんだ」と認識が変わります。実際には「5万円で作った仕組みなんですけどね」と、本人たちはボソッと言うんです。
そうした評価をうまく活用すると、周りが自然とサポートしてくれるようになります。「すごい事をやっている人たちなんだ」と社内で認識されると、「うちの別の部署で困っている事も改善してくれませんか」と新しい相談につながるケースもありますね。


































でも、ソラコムを使った事例が外部で評価されて、「あの会社の、あの部署の取り組みはすごい」と話題になると、急に幹部が「実は俺も応援していたんだよ。ソラコム、いいよね」と言い始める(笑)。
たくさんの方が参加されるイベントなので、その場で「うちの会社の事例が紹介されている」と分かると、皆さんすごく嬉しそうなんですよ。


































「SORACOM Discovery」には、日本中の大手・中堅企業のエンジニアのおじさんたちが集まって、その場で自社の取り組みが紹介されると「初めて認められた」という感覚になるんですよね。


でも、自分たちで言ってもなかなか通じない。そういう時に、外部の私が呼ばれて同じ話をすると、「なるほど」と聞いてもらえる場面はあります。








































































































































そこで信頼関係が生まれて、「じゃあ、こういう形で進めていきましょう」と次の話につながるので、とても大切な事だと思っています。

